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RFP作成こそ、制作会社に依頼するべき

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2017.09.19

こんにちは、XD事業部の塩沢です。

優れたRFPがプロジェクトの質を高めることは言うまでもありません。

Web上には様々なRFP作成についてのハウツーやテンプレートがあり、新任のWeb担当者の方でも一通り情報収集をすればある程度RFPの体裁は整えられます。
しかし実際のところ、制作会社の視点から見てクライアントから提供されるRFPの多くはその役割を充分に果たせておらず、質を高めるどころかプロジェクトのスタートの段階で大きくつまずいてしまうことも少なくありません。
私はこれまで300以上のプロジェクトに携わり、多くのRFP見てきました。
結論、誤解を恐れずに言えばクライアントは自社でRFP作成をするべきではありません。

そもそも企業のWeb担当者にとってはRFPを必要とする機会自体が少なく、おそらくBtoB企業であれば3年に1度あるかないかというレベルかと思います。
BtoC企業においてもプロジェクトマネジャーが毎回同じ人間であることは少ないと思います。
頻度が少ないとなれば当然RFPの書き方は社内に継承されるに至らず、そのノウハウは廃れていきます。
RFPを作成する人材もノウハウもないという状況でゼロから自社でRFPを作成するというのはなかなかハードルが高いですよね。

そしてもうひとつ、クライアントが提供する情報と私たち制作会社が要求する情報との間には認識にズレがあるということ。
そしてWeb担当者のみなさんが思っている以上に、そのギャップは大きいです。
まずは私がこれまでに出会ったRFPを交え、この認識差を明らかにしていきたいと思います。

RFP作成において陥りやすい認識差の事例

1.目的の捉え方がずれている

“2010年にサイトをリニューアルしてから大きな改修や更新をしていない。経年によりデザインの古臭さが目立つため、いまらしさのあるデザインに刷新しリニューアルを行う。またユーザーの閲覧環境の変化にも対応するためにレスポンシブデザイン対応にしたい”

信じがたいことだと思いますが、実際のところご提供いただくRFPの半数ほどはこのようにプロジェクト自体が目的化してしまった主要件をもつものです。
リニューアルやリデザインは手段であって目的にはなりえません。
背景にはその決断に至った本質的な課題が内在し、その解決こそプロジェクトの目的たり得ます。

“若者向けにブランド転換を図るため都内全てのリアル店舗のリブランディングを行う。若年層の新規顧客を多く取り込みたいので、単なる情報掲載ではなく閲覧者の印象に残るTOPページにしたい。”

こちらの主要件文についても一見、目的は定義されているかのように見えますが印象に残るページをつくることと若年層を新規獲得することの相関関係を証明するものはありません。
本質的な目的はリブランディングを行うに至った課題に紐づきがあるはずです。

こういった事例はトップダウンで下された指令に従ってインスタントで建てられたチームで進めなければならない状況である場合が多いです。
目的を解釈できていないため、この一文を含むRFPは往々にてこれ以上の情報が与えられません。
わたしたちが設計するサイトゴールは必ずビジネスゴールに紐づいています。
まずはトップダウンの命令が発せられた意図を見つけ、経営陣や上司が抱える本質的な課題が何であるかを明確にしていく必要があります。
ビジネスおよびプロジェクトが実現するべきゴールと期待される役割を明確にすることからはじめましょう。

2.成果物の仕様要件に偏重する

リニューアル要件
管理負荷軽減のためCMS導入を検討。併せてUIのリニューアルや新規コンテンツの追加を行う。以下要件で各社提案をお願いします。
・納品希望日:2016年1月末 (公開予定日:2016年3月末)
・対象作業範囲:〇〇サービスサイト(PC.,SP) http;//www.〇〇.jp/ 配下全て
・想定ボリューム:80P(ブログ含め約800P) ※サイトマップ別添付
・追加コンテンツ:取引企業インタビュー(取材・撮影込み)
・実現したい機能:CMS(IR情報更新)、自動グラフ描画機能
・最終成果物/納品形式:制作データ一式、システム仕様書、写真データ一式、会議議事録
・提案時資料:企画書・見積書・スケジュール表・体制図・制作実績

1.とも紐づきますが、成果物の仕様要件しか記載のないRFPもよく見られます。
作業スコープは必須要件ではありますが、それ自体はプロジェクトの成果に直接結びつく情報ではありません。
このようなケースではプロジェクトがスタートした後で要件変更があった時に立ち返るべき寄り所を見失い、落としどころのない議論を繰り返すことになってしまいます。
またコンペの場合、プロジェクトの成果にコミットメントしてくれる制作会社を選定しづらくなる可能性もあります。
プロジェクトの目的や背景が明確でないと、制作会社の推測で判断をする範囲が広くなりすぎてしまうために各社の提案粒度の乖離が大きくなってしまうためです。
仕様要件だけでなく、短期、中長期視点で何を実現してどのようになりたいのか、誰に対してなのかを明確に言語に落とし込み、プロジェクトチーム内はもちろんオリエンテーションを行う制作会社にも共通認識として握っておくことが重要です。

3.施策ベースまで要望を固めてしまっている

このようなケースではデザインやコンテンツを軸に要望がディテールの話に偏ることが多いです。
MECEを意識しモレなく要望を詰め込んでいただくことは有難いです。
しかし提案段階で委細の施策内容に踏み込んで指定をされてしまうと正直どの制作会社を選択しても同じような提案しか集まりません。
またよくある事例としてはデザインについてクリエイティブコンセプトやトーン&マナー、カラーバリエーションの指定まで記載されることがありますがこれも同様です。
特にビジュアルデザインは表現として、個人的な主観や志向で要望や指摘を加えやすい一面があります。
そのためどうしても本質とはずれて議論の中心になりがちなのですが、正直ディテールについては後からいかようにも調整可能なのです。
実際にわたしたちはコンセプトからクライアントと一緒に協議をしながらアジャストさせていくプロセスを重視しています。
結果的に比較検討材料にならない要件よりも、効果や成果として語ることのできる仮説・検証プロセスに力を注いでいる制作会社を判断できるような軸で、依頼要件をまとめることが大切です。

4.目標数値の設計・共有がなされない

プロジェクトの目的は数値目標として指標化される必要があります。
しかし実に多くのクライアントが、プロジェクトの目的に対する具体的な目標数値を答えることができません。
また制作会社への共有の必要性を理解していない企業は意外にも多く、クライアントが制作会社に求める成果とのギャップを感じています。

ビジネスゴールやサイトゴールは言語化を通じて観測可能な成果指標であるKGIやKSFとして設定する必要あることは言うまでもありません。
それを制作会社であるわたしたちがRFP上で知り得たいと思っているのは、KGI・KSFがサイトの目的/目標を明確にし、成果を出すための提案の方向性を定めるための核であるからです。
制作会社はKGI・KSFを基にプロジェクトにおけるKPIを設計し、各施策の提案判断を行います。
目標達成のプロセスを描くために制作会社にとっても必要な情報なのです。
このプロセスはクライアントにとってもプロダクトを作って終わりにしないための楔でもあります。
逆に言えば提案時にここにコミットメントしない制作会社は成果を追わない会社だと選別することができます。
もちろん制作会社の提案が仮説である以上プロジェクト開始までに成果を約束することはできません。
ただ成果に対して論理的に道筋を立て設計しているか、成果に対して真摯に向きあっているかを判断することは可能です。

KGI・KSFは事業の中長期計画に直結する数字ですので、策定のためには自社の戦略の理解や分析・関連データの精緻が必要です。
新任の担当者にとってはとても手間のかかる業務だと言えます。
ただプロジェクトに本当に成果を期待するのであれば、手間をかけてでも開示が許される範囲でぜひ積極的に共有をしてほしいと思います。

5.社内ステークホルダーの合意形成不足

いざ提案の場において、社内メンバーからプロジェクトの在り方そのものを覆すような意見や批判が飛び出してきたり、予算の確保がされていなかったり、決裁者や上長のコンセンサスが取れておらずプロジェクト自体白紙に戻ってしまったり…
制作会社としてはなされていて当然と考える部門部署間の要求や踏むべき承認プロセスなど、プロジェクトに関わる社内ステークホルダーの合意形成が不足していることで突然プロジェクトが停滞する事態に陥るケースも多く遭遇します。
特にWebサイトのプロジェクトは想定以上に多くのステークホルダーが広く浅く関わる場合が多く、また専門的な知識や用語を介することで共有・理解が進みにくいため、合意形成の範囲や粒度を担当者は見誤りがちです。

また社内合意を得ていない場合、得てしてパートナーの選定基準が決まっておらず、選定協議が迷走し時間を要したり、再度オリエンテーションを行ったりする羽目になります。
そもそもRFPは発注先候補の会社に提案を依頼するにあたっての要件を共有するための資料であるとともに、社内ステークホルダーに対してプロジェクトの目的と意義を共有する役割があることは見落とされがちです。
スムーズなプロジェクトスタートを阻害されないためにも社内ステークホルダーには事前に内部用のオリエンテーション資料を用意し、インタビューやアンケート、ミーティングを通じて要望を取りまとめておくことが重要です。

 

RFP作成こそ制作会社に依頼して良いのだと知ってほしい

ここまでRFP作成における5つの認識差の事例をまとめさせてもらいました。
プロジェクトの責任者およびチームにとってこれらの認識のずれを知っておくことは、より精度の高いRFPを作成すること、社内外のプロジェクトメンバーのパフォーマンスを最大化することの一助になるかと思います。
一方でこれらの認識差を生まないように、RFP作成において担当者が把握しておかなければならない情報や行う必要のある業務は決して簡単なことではありません。
以下はこれまでの話を踏まえRFP作成においてプロジェクト担当者に必要とされるプロセスです。

 

 

特に新任や業界経験の少ないWeb担当者がゼロからこれらを事前に精緻化しRFPとしてとりまとめることは想像以上に手間と時間がかかるとお分かりかと思います。
だからこそRFP作成は自社でつくるのではなくアウトソースすることをお勧めします。

RFP作成を制作会社に依頼するメリットとは?

・手間と時間が省ける
言うまでもなく、RFP作成における調査・データ分析・要件定義/整理・資料作成などに掛かる手間や時間を短縮することが可能です。

・新たな課題(リスク)や本質的課題(ボトルネック)の発見を得られる
客観的な視点からプロジェクトに内包するリスクを事前に示唆することができます。
またケーススタディから陥りやすい目的の認識ズレを修正し、ビジネス課題からサイト上で解決するべき課題の抽出を行うことができます。

・必要要件と提案要件を明確にできる
オリエンテーションで最低限与えるべき情報と、制作会社各社に委ねられる提案余地を適切にとりまとめできます。
これによって情報不足や情報過多で提案粒度がばらつくのを防ぎ、公正な比較検討を行えるようになります。

・中立的な立場で社内ステークホルダーの合議を進めてくれる
社内における組織間の軋轢や業務・商流上の上下関係などを超えて中立的な立ち位置でミーティングファシリテーションや社内意見のとりまとめなどを行うことができます。

 

プロジェクトの成否はRFP作成前に決まる

制作会社に依頼するべきとお話しましたが、当然丸投げを擁護するわけではありません。
先にお伝えした通りRFP作成は、内向きにプロジェクトの目的と意義を共通認識とする役割があります。
社内のプロジェクトチームがよく理解をしていなければ、実際にプロジェクトがスタートした際にパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。
また、RFP作成前の事前準備として 社内稟議や自社分析のためのインタビュイーの用意、中長期計画の整理と理解、カスタマー調査など制作会社の動きだけでは獲得し難い情報もたくさんあります。
オリエンテーションでの質問にスムーズに、一律な回答をするためにもこれらの下準備はクライアント側で事前に行っておくべきと言えます。

 

その道のプロを上手に利用しよう

極論ここで挙げさせていただいたことを社内ですべて完結できるということであれば問題ありません。
それが1番良いです。
但し担当者が通常の業務を抱えながらこれだけの準備や精緻を行っていくのはあまり現実的ではないですし、プロジェクトの立ち上がりにおいて時間的猶予もそこまで多くないと思います。
新任や経験の浅い担当者であればなおさらです。
そういった点でもぜひ制作会社を上手に活用してください。
成果にコミットするまともな制作会社であれば有料で引き受けてくれますし、条件次第では無料でやってくれる会社もあると思います(インタビューなど工数負担が大きいものは難しいかと思いますが)。
ちょっとした下心としては提案時に多少の加点配慮をしてもらえると喜ばしいのは確かですが、提案前にクライアントのビジネスやプロジェクトに深い理解を得られるというだけで充分な対価と言えます。
クライアントのメリットとしても事前にその制作会社のレベルを測ることが可能です。

弊社に関わらず繋がりのある制作会社や、志望度の高い制作会社にぜひ遠慮せず問い合わせてほしいと思います。
積極的に制作会社を巻き込み、ぜひプロジェクトの成功確度を高めてください。

ヤモリ

塩沢 彰吾 / エクスペリエンスデザイン事業部マネジャー

Manager / Senior Producer XD事業部のマネジメント業務を主務とし、プロデューサーとしてもWebメディア戦略やマーケティング戦略のプランニング業務を行う。  

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